asus

GIGAスクール構想第1期で見えてきた端末運用とアクシデント対応に向けた保証/宜野湾市教育委員会

沖縄本島の中南部に位置する宜野湾市。かつては「琉球の根(ねたて)」と呼ばれ、沖縄県の中核都市として発展を遂げている。GIGAスクール構想により同市では2021年から市内の公立小中学校に Chromebook を導入した。1人1台環境から約3年が経過しようとしている現在、各学校の端末の活用状況から得た気づきなど、宜野湾市教育委員会 GIGAスクール担当 主幹の比嘉広和氏に話を伺った。

本GIGAスクール構想第1期で見えてきた端末運用とアクシデント対応に向けた保証/宜野湾市教育委員会

ICT活用で賑わう教室

宜野湾市では2021年4月に市内の公立小中学校へ1人1台端末を配備し、6月から活用を開始している。当時、同市が採用した端末はASUS Chromebook Flip C214MA-GA0028。小学校9校と中学校4校に10,306台を導入した。同機は文部科学省が提示していたGIGAスクール構想の学習者用端末の標準仕様を満たし、かつスタイラスペンが標準付属型のモデルである。

付けで、文部科学省はGIGAスクール構想第2期を見据えた「GIGAスクール構想の実現 学習者用コンピュータ最低スペック基準」を公開した。今回、タッチペンが必須項目として明記されており、やはり生徒の教育現場においてはこういったペンが重要なアイテムであることが再認識された結果だろう。その中で宜野湾市教育委員会はGIGAスクール構想第1期の時からスタイラスペンを必須アイテムとして捉えていたことから先見性が伺える。

なお、「GIGAスクール構想の実現 学習者用コンピュータ最低スペック基準」文書内のタッチペンについて触れている箇所にはこう補足されている。『令和6年度から本格的な導入を予定しているデジタル教科書、質・量ともに充実してきているデジタル教材、写真や画像データへの書き込み、数式の記述等で必要な付属品であり、学校における具体的な使用場面を勘案して仕様を選択する必要がある。』最低限必要なレベルとしてはタッチペンなのかもしれないが、実際にデジタル教材に書き込みしたり、数式の記述として細かい文字を描く場合は筆圧検知がしっかりとしたスタイラスペンの方が圧倒的に利便性は高い。よって現行機として販売している Chromebook でいえば本体内蔵型のUSI規格に対応したスタイラスペンを使用すれば間違いないだろう。

本体内蔵型のASUS USIペンであれば鉛筆同様の書き心地が実現できる 本体内蔵型のASUS USIペンであれば鉛筆同様の書き心地が実現できる

現在、各学校の児童生徒たちは端末活用を楽しみながら学びに取り組んでおり、特に小学生は、充電保管庫から自分の端末を喜んで取り出しにいく姿が見られるという。授業が始まれば教員の指示を素直に受けながら、教室は賑やかに活気が溢れる。「先生も端末を使うことでこんなふうに授業ができるのだなと発見があるようです」と比嘉氏は学校現場の様子を語る。

端末導入の当時はコロナ禍。沖縄で新型コロナウイルスの流行が拡大した時期には、児童生徒に端末を持ち帰らせ、家庭からのリモート授業にもチャレンジした。授業の対応が忙しい中、「先生方がGIGAスクールを上手く活用することを進めてくださった」と当時を振り返る。

宜野湾市教育委員会 GIGAスクール担当 主幹 比嘉広和氏 宜野湾市教育委員会 GIGAスクール担当 主幹 比嘉広和氏

「Chromebook とは何か?」からスタートした端末選定

Chromebook を導入した宜野湾市だが、当初は市教育員会も学校も「そもそも Chromebook とは何だ?」から始まったと比嘉氏は明かす。パソコンと言えば Windows、タブレットと言えば iPad が知られている。では Chromebook は何ができるのか?

比嘉氏は、Windows も iPad もそれぞれに優位点があるとした上で、「Chromebook は一括管理が優れているようだと調べて分かりました。また、文部科学省からはタイピングも身に付けるべき能力と示されており、その点でもキーボード一体型でしっかりとした構造となっている Chromebook は有利かと思いました」と話す。現場の教員の意見も聞き、ネット情報や他市町村の動向も確認、また実機に触れる機会も得て、機能や規格など総合的に判断して端末選定を進めた。

GIGAスクール構想第1期において宜野湾市教育委員会が採用した ASUS Chromebook Flip C214MA-GA0028
GIGAスクール構想第1期において宜野湾市教育委員会が採用した ASUS Chromebook Flip C214MA-GA0028
GIGAスクール構想第1期において宜野湾市教育委員会が採用した ASUS Chromebook Flip C214MA-GA0028

同市が採用したASUS Chromebook Flip C214MA-GA0028は、天板が360°回転するタッチスクリーンのディスプレイで、ノートPCやタブレットのように自由なスタイルで利用することができる。スタイラスペンも標準で付属していた。米国国防総省の軍用規格に準拠した堅牢性もあり、教育現場にとてもマッチする端末だった。

オンライン上の学習システムも段階的に活用

同市の各学校では日常的な学びの中心に Google Workspace for Education を活用しながらICT教育を着実に広げている。

端末を操作して調べ学習に取り組む小学生 端末を操作して調べ学習に取り組む小学生

文部科学省が2021年11月から小・中・高等学校向けに提供開始したオンライン学習システム「MEXCBT(メクビット)」の利用も、2023年5月の全国学力調査から着手した。「MEXCBT」は、国や自治体が作成した問題をオンライン上で学習できるCBTシステム。児童生徒はインターネット環境さえあれば、学校でも家庭でも端末を通じてオンライン学習に取り組むことが可能で、GIGAスクール構想を推進するシステムとして年々利用を拡大している。

「MEXCBT」の提供開始から間もない頃はまだ使う余裕はなく、その段階に至っていなかったと振り返る比嘉氏。しかし、1年ほど前に文部科学省から先の全国学力調査の知らせを受けたことを機に、「MEXCBT」を利用するための学習eポータルを採用し、以降、取り組みを継続している。

端末活用と運用してみて気づいたこと

1人1台環境から約3年。端末活用・運用を始めてみてわかったこと、その中には大人では思いもつかないことがあった。たとえば、スタイラスペン。ASUS Chromebook Flip C214MA-GA0028 は、キーボード入力はもちろん、スタイラスペンを利用して文字入力などもでき、さまざまな学習形態に対応する柔軟さを備えている。書き取りや書き順の練習など、タイピングだけではなく「書く」ことの学習効果も期待できるのではないかと考えていたという比嘉氏。

国語の授業でスタイラスペンを活用する中学生たち 国語の授業でスタイラスペンを活用する中学生たち

実際に、学校現場ではスタイラスペンで文字を書いたり、計算の過程で使ったりする学年・学級もあれば、ウインドウボタンを押すような細かい操作の用途で指の代わりに使うなど、さまざまに活用されている様子だという。

日々の端末操作の中でもスタイラスペンを有効活用している場合、電池式のスタイラスペンの場合はもしかしたら電池切れが頻発してしまうかもしれない。かつ電池式のスタイラスペンは単6電池を用いるタイプが多く、なかなか単6電池を販売している店舗が少ないという背景もある。

そのような中で本体格納で充電式のスタイラスペンが標準搭載されたモデルを採用すればその心配は不要だ。わずか数十秒の充電で授業1コマ分ぐらいの充電が可能なため、もし万が一、授業中にスタイラスペンの充電が切れてしまっても、問題は極めて最小限に抑えられる。

端末の普段使いで増加するアクシデント、故障時に「あんしん」の保証

当初、人的な理由による端末故障はそれほど多く発生しないのではと見込んでいた。同市におけるこれまでの物損故障を含めた年間故障件数は、導入台数に対して約2~3%程度とのことだが、端末の普段使いが進み、年月が経つほど「物損」のアクシデントが増えてきたという。端末も思いがけない落ち方をする。同機は「高い堅牢性があり良かった」としつつ、「児童生徒は端末を“開けたまま落としてしまう”ことも多いです。ダメージは少なくても、これも本当に運用してみて気づいたことでした」。

不意にやってくる端末のアクシデント。宜野湾市では、ASUS Chromebook に標準付帯されている「ASUSのあんしん保証」に加入しており(端末シリアル番号の登録が必要)、「ASUSのあんしん保証」があったことで、結果として、助かったケースが多々ありました」と比嘉氏は話す。

ASUS製品には、通常利用中に発生してしまった故障を無償修理対応するための保証として「購入日より12ヵ月間の国内保証」が標準付帯されているが、それとは別に同期間において発生してしまった物損故障に対して有償費用の減額が可能となる「ASUSのあんしん保証」が存在している。

物損故障が発生した場合、修理依頼者が修理に要する費用として「部品代金・作業費・検証費・送料」の全額を支払わなくてはいけないというのが一般的だ。しかし、「ASUSのあんしん保証」に加入しておくことで、物損故障に対する修理費用の自己負担額を「部品代金の20%」のみとすることができ、物損故障時の修理費用を最小限に抑えることができる。なお日本国内において同様のサービスを展開しているPCメーカーは存在せず、ASUSのみが展開しているメニューとなっている。

端末の普段使いで増加するアクシデント、故障時に「あんしん」の保証

実際、これまでの「ASUSのあんしん保証」の期間中に発生した故障による修理費用を試算すると、本来かかる費用の2割程度に抑えられているという同市。「私たちも運用していろいろ気づきました。教育現場ではさまざまな発達段階の児童生徒がいますし、端末活用が日常的になればアクシデントの発生率は必然的に上がります。もちろん、この保証があるからと言って壊していいわけではないですが、ある程度カバーができることはとても安心です」。

端末の普段使いで増加するアクシデント、故障時に「あんしん」の保証

さらに「ASUSのあんしん保証」には有償プランとして「ASUSのあんしん保証プレミアム4年」と「ASUSのあんしん保証プレミアム5年」が用意されている。またGIGAスクール構想第2期に向けた取り組みの一貫で、特定の教育モデルに関しては「ASUSのあんしん保証プレミアム6年」もラインナップとして追加された。GIGAスクール構想が第1期から第2期へとフェーズが移り変わる今後、より長期的な端末運用の選択肢に豊富なラインナップがあることもASUSを採用する際の大きな魅力である。

子どもたちのプレゼン力に驚き、この先のさらなる成長に期待

GIGAスクール構想とともに Chromebook に触れ、勉強しながらやっとここまで来たと語る比嘉氏。「現場の先生方にとっても本当にチャレンジだったと思うのですが、子どもたちもすごくて。私たちは大人になって初めてパソコンを使ってプレゼンを経験する人もいるかと思うのですが、子どもたちは既にICTを活用して堂々とプレゼンができている。頼もしいのと、私たちが一生懸命覚えてきたことがあっという間に抜かされるぐらいのインパクトです(笑)。GIGA(Global and Innovation Gateway for All)を積み重ねていけば、もっとすごい成果が出るのだろうと思います」と今後の子どもたちの成長に期待を寄せる。

現代の学びの要とも言える端末整備。今後も活用が定着してきた Chromebook をしっかりと役立てたいという比嘉氏。学校現場と教育委員会が一体となって、この先も続くICT教育と端末運用を推進していく意向だ。


宜野湾市教育委員会
  • お客様プロフィール
  • 組織名: 宜野湾市教育委員
  • 住所: 沖縄県宜野湾市字野嵩730番地
  • 業種: 教育委員会