授業も校務も多面的に効果が広がる Chromebook™ 活用(後編)/浜松聖星高等学校
2018年からICT教育の推進に本格的に取り組んできた浜松聖星高等学校。Chromebook の採用を決定し、毎年段階的に端末を導入。2022年4月に全校生徒への1人1台整備を完了した。教員用の端末には、ASUS Chromebook Flip CX3 (CX3400) を導入。生徒用より高いスペック(14型液晶/第11世代インテル® Core™ i3 プロセッサー/8GB RAM)であり、パフォーマンスとレスポンスに優れたパワフルな性能と機能を備えた機種である。授業や校務など現在の端末活用について、同校の鈴木瑶介教諭(数学)、佐藤大介教諭(進路部長・数学)、櫻井伸吾事務長に話を聞いた。
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日常使いの Chromebook で生徒の自主性が増進
2年生と3年生の数学を担当している鈴木瑶介教諭は、Jamboard アプリを活用して授業を進めている。生徒には Jamboard アプリ画面が閲覧共有されており、Chromebook を開いたままいつでも鈴木教諭の画面が見られる状態になっているという。編集権限を付与されているものであれば、生徒もペンなどを使って鈴木教諭の Jamboard アプリ画面に書き込むこともできる。
黒板を使っている頃から授業の進め方が早いという鈴木教諭。Jamboard アプリを使い始めてから生徒は板書の全てを自分のノートに書き留める必要がなくなったという。鈴木教諭が板書した内容は Jamboard アプリに保存されているため、生徒は読み返しも可能だ。授業中は話に集中し、教科書にない解説や生徒自身が大事だと感じた部分を自分のノートに書く生徒もいる。Jamboard アプリが生徒のノート代わりになり、演習に取り組む時だけ自分のノートを使うといった形だ。
また、生徒は Chromebook を開いたまま授業を進めることで、以前に学んで忘れてしまった数式などを自ら調べたり、グラフを自在に描けるアプリのグラフ計算機「Desmos」を使って実際にグラフを作成して確認したりするという。
思い立ったらすぐ実行に移せることもICTの良さ。数学は覚えるよりも解き方を理解してほしいという鈴木教諭。そうした視点が自然と養われているようだ。
パフォーマンスに優れたハイスペックなASUS Chromebook Flip CX3 (CX3400)
鈴木教諭は自身の Chromebook を「基本的に派手に使っている」と話す。端末の画面を覗かせてもらうと、各クラスや担当する校務のフォルダ、実際に開いているファイルのタブなどがズラリと並ぶ。常にこうした状態で、取り掛かる資料にすぐ切り替えられるようにしている。授業になれば、この画面の状態から当該クラスで使用する Jamboard アプリをそのまま電子黒板に提示して授業を開始するといった具合だ。大量の画面が開かれていても業務スピードを落とすことなく、多忙な先生の使いこなしに応えるASUS Chromebook Flip CX3 (CX3400) はそのハイスペックさを物語っている。
ベテランの先生もICT活用を独自に実践しており、話を聞けば面白く、また、生徒経由で活用の様子を知ることも多いという。「たとえば Google Classroom は誰が一番使っているの?と生徒に聞くと、〇〇先生と答えてくれます(笑)」。こうして先生たちの新しい一面が見える機会も増えているようだ。鈴木教諭は、生徒の学力や学校全般に関する情報を集約し、形にしたいと思い描いている構想があるという。Chromebook と Google のアプリケーションを駆使して、その仕組みづくりを進めていきたいという。
学びの振り返りや反復にも Jamboard アプリが効果的
1年生と3年生の数学を担当する進路部長の佐藤大介教諭も Jamboard アプリを日常的に活用している。コロナの影響により昨年の休校時には Google Meet でオンライン授業を実施。当時、生徒からの質問に答える際には、進路用で導入していたタブレットを使用していた。メモをさっと書いてメール送信するのに都合が良かったという。休校期間が明けた後もICT活用を継続する中、鈴木教諭から Jamboard アプリで可能なことを教えてもらった。「教室に電子黒板がありますし、Jamboard アプリと合わせて使ったら使い勝手がすごく良かったんです。そのままファイルとして記録もでき、Google Classroom で送信すれば生徒はそれを開くだけ。こちらも取りまとめがラクになり、私の授業ノートは Jamboard アプリと決めました」。
佐藤教諭は、生徒には帰宅後も Jamboard アプリを見て授業を振り返ってほしいという。数学はできるところから深く理解するまでハードルが高く、問題は解けるけれどなぜそうなっているのか原理が理解できない生徒もいるためだ。振り返りや反復などはとても有効で、その観点からも Jamboard アプリは便利だと感じていると語る。
佐藤教諭の指導のアプローチは興味深い。「Jamboard アプリで書いたことをよく消します。思い出してほしいからです。それでわからなかったら聞きに来なさいと。ですから Jamboard アプリにはもうちょっと大きい消しゴムがほしいですね(笑)」。主要な内容を消すことはない。
ただし、余白に書いた計算やそこで気をつけるべきことなど、様々に雑談しながら書いたことは基本的に残さない。そうすることで、消した部分つまりプラスアルファの要素は、思い出したものだけが手に入れられる。「記憶に引っかかるようなトリガーを用意したくて消すことをしています」とインパクトが与える学習の効用を明かす。
処理が早くてストレスがないASUS Chromebook Flip CX3 (CX3400)
ASUS Chromebook Flip CX3 (CX3400) にはASUS USIペンが標準内蔵されている。佐藤教諭は、「Chromebook 上で文字や図形を描くのにこのペンがとても重宝している」と話す。「図形で、辺と辺が接する頂点などもズレることなくきれいに合わせられます」と書き心地の良さを高く評価。まるでノートに書くのと同じ感覚で使えるという。
また、佐藤教諭も鈴木教諭と同様に端末のデスクトップ上には各種フォルダやタブなどが大量に並ぶ。やはり、資料はいつでもすぐ見られる状態にしておきたいとの理由から、ファイルを開いたまま常時過ごすことが多いという。以前使用していた端末は動作が遅くストレスを感じることがあったが、現在使用しているASUS Chromebook Flip CX3 (CX3400) は、稼働が多くてもデータの読み込みなど時間がかからず、処理の早さが何より魅力だという。
近年のメタバースの登場により、仮想空間の可能性が広がっている。アバターで授業に参加するスタイルなども現実的に可能になってきた。佐藤教諭は、今後そうした教育機関の発展やあり方などにも注目している様子だ。
Chromebook で何でもこなせるのが最終形
「現在までに教員用の端末を2回アップグレードしました。入り口は『コスト』でしたが、今は『動作の良さ』。限られた時間で濃密な授業をするために教員が求める端末パフォーマンスや用途にズレがないよう教員の声に耳を傾けてきました」。こう語るのは2018年から校内のICT教育推進のための環境配備に関わってきた櫻井事務長。
教員用端末をWindows環境から Chromebook へ移行するにあたり、最初の1年は苦労したという。今でも教科の特性やテスト作成などでWindows PCを必要とする場面はあるが、学校全体で Chromebook の利用が進んでいく中、教員にもその良さが浸透し、その価値が広がっている。最終的には、Chromebook で何でもこなせるようにしたいと考えていると櫻井事務長は語る。
具体的には、デスクワークのために各教員の机には大きめのモニターを配置し、かつ共用のWindows PCはネットワーク上に設定して、いつでも Chromebook からアクセスできるVPNのイメージだ。こうすることでWindows PCの空き状況も一目瞭然、Chromebook からアクセスすれば、自分の占有端末であたかも操作しているかのように使用できる。環境を揃えていければ、実現の日も近いと考えているという。
先生たちの努力や協力がありICTスキルはここ数年で各段に向上した。紆余曲折もありながら様々に経験を積む中で、先生同士の信頼関係も増し、ポジティブな気運の醸成を感じるという。より良質な教育、より快適な校務のための環境づくりに邁進する同校。Chromebook の活用を中心に据えながら、さらに前進させる構えだ。
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