実社会のトレンドを見据えた結果、たどり着いた Chromebook™ と G suite for Education/浜松聖星高等学校(後編_生徒用)
浜松聖星高等学校 は2017年4月1日に男女共学化となり、新たな一歩を歩み始めた静岡県西部唯一のカトリック系ミッションスクール。世界の大きな変化を見通し、これからの社会を生きていくために必要な力を育むため「国際教養教育」「ICT教育」そしてカトリックに基づく「心の教育」を教育目標として掲げています。
教員が日々利用する校務用パソコンを Windows PCから Chromebook へ切り替え、教員の校務における業務遂行改革に着手。そして満を持して2019年度より Chromebook と G suite for Education を軸とした生徒向けの本格的なICT教育を開始されました。今回は生徒向けのICT教育用端末として ASUS Chromebook Flip C213NA-BW0045 を採用された経緯や導入背景、利活用について 浜松聖星高等学校 事務長 櫻井伸吾氏 と 教務部長 清水明子氏 にお話を伺いました。
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ー 生徒に創造的かつクリエイティブな制作を行なわせるためにはキーボードが必要、ゆえに 選んだ Chromebook
櫻井事務長: 「1人1端末を早期に実現してICT教育を推進する」これが本校の大命題になっていました。その中でキーボードが要るか要らないかという議論はとても重要でした。現状からすると、タブレットであれば iPad、キーボード付きの端末であれば Chromebook の採用が現実的ではないかと考えていました。
「iPad と外付けキーボード」という校内での議論もあったのですが、別費用として見込まなくはいけない負担と、外付けゆえにそのキーボードの利用頻度が生徒によって差が生じてしまうのではないか、という懸念がありました。
本校の理事長もキーボードの必要性を重視していました。これから求められる探求型学習をより主体的かつ創造的に実践していく上でキーボードは必須ではないかと。加えて各種試験の形態が一部CBT(PCを利用した試験)に切り替わりつつある現状から、生徒には普段からキーボード操作に慣れさせておく必要性があると感じていました。これらがポイントとなり、キーボード付きの端末を採用していく方向性で固まりました。結果、Chromebookを校務用及びICT教育用端末として扱うこととなり、複数の Chromebook を検討して、ASUS Chromebook Flip C213NA-BW0045 を採用することになりました。
これからCBTの導入が本格的になってきます。例えば、英単語にしても書けるけど打てない。あるいは、打つのに時間がかかってしまう。このような状況では、解答できる能力があっても時間内に取り組める問題数が減ってしまい、能力に応じた得点をとることができなくなってしまいます。その意味でも、キーボード操作の習得は生徒にとって大切だと考えています。
ー Chromebook の起動の速さは授業進行の中で最も重要なポイント
櫻井事務長: 実際問題としてICT教育を考えたときに、授業の中では講義の部分や、実際に生徒が端末を操作して作業する部分があったり、頻繁に進行内容の切り替わりが行われます。その場合、端末を開けたり閉じたり、机の上に出したり収納したり。といったシチュエーションが発生しますので、端末の起動の速さというのはICT教育の授業進行においてはとても重要なポイントであると考えていました。
授業の中で「じゃあ、使いましょう」となった時に Windows PCでも比較的ハイスペックなモデルであれば別なのですが、我々が考えてる高校生が負担できる価格帯の Windows PCの起動時間や処理速度は Chromebook と比較するとあまり満足いくものではないと個人的には思っています。本来、授業の中身を重視したいにもかかわらず、端末操作の面でロスが生じてしまってはスムーズな授業進行ができません。
そうした考えがありましたので、検討機種から Windows PCは外していました。ただ Windows PCでこれらの問題が解消できて、Chromebook と価格帯が同じ水準だったとした場合、もしかしたら Windows PCを選んだかもしれません。それは教員が元々 Windows PCを利用していて慣れているからです。なお Windows PCで Google ドキュメントや Google スプレッドシートを利用することもできますが、相性や親和性については Chromebook が優れていると感じています。
ー 基礎力向上を目指し、国語の学習教材として「すらら」を採用
清水教務部長: 昨年度までは「論理エンジン」という冊子を活用しながら授業を行っていました。ですが、校内におけるICT化の促進に伴い、「論理エンジン」で担っていた国語の基礎力の向上を、「すらら」を使って目指すことにしました。「すらら」の国語は高校一年生が学んでいます。アニメーション・音声つきで、ゲーム感覚で学べるところもあるため、論理エンジンを用いていた以前の生徒より、楽しく学べているのではないかと思います。
「論理エンジン」の場合、生徒が自宅で宿題としてやってきたものを学校の授業の中で答え合わせをする方式をとっていましたが、「すらら」の場合、その場で答え合わせができるためとても効率的だと思います。このようなICTツールを用いることによって、生徒は自主的にカリキュラムを進めることができます。結果、教員には授業時に生徒全員に目を配らせ、必要に応じて適切な指導や助言が行える余裕が生まれました。
「すらら」は小・中・高校の国・数・英3科目を無学年式で学習できる AI + アダプティブラーニング教材です。「レクチャー(わかる)」「ドリル(できる)」「テスト(使える)」をワンストップで実現するコンテンツと、160校における立ち上げ・導入コンサルテーション、運用フォローにより、学校課題を解決できるICT教に材として成績向上、家庭学習習慣の確立に効果を発揮し、160校(2019年9月時点)の私立中高で活用されています。
現在は Chromebook が保管されている特定の部屋に生徒が集まって、授業時間である50分間ずっと「すらら」を操作しているのですが、2020年からは一人1台の Chromebook を生徒が持つ形となるため、教室での通常授業の中で「すらら」を取り入れることができるようになります。その場合、アナログとデジタルを融合させたハイブリッドな形で授業を行うことができます。教員にとっても、生徒にとってもメリハリのある授業ができて良いのではないでしょうか。
ただ昨今、国語という観点に焦点を当てれば生徒の筆記力が弱まっているという話もあります。ですので、こういったデジタルな教材も大事かとは思いますが、鉛筆とノートという組み合わせのアナログなやり方は国語の教科としてはなくしてはいけないことだと個人的には思っています。
ー G suite は今の時代にあったグループウェア
櫻井事務長: 北米市場の教育市場で Chromebook の採用が伸びているという話をよく耳にします。それだけ急拡大してる理由は、正直、それなりにあるなというのは導入前の情報収集の中でも感じていました。Windows PCで今までやってきたように端末内にプログラムをインストールして、それを動かしてデータを作っていくというところから世の中の流れがクラウドへ変わってきています。
Google はこういった動向を主流にしていくために、かなり G suite に汎用性を持たせているなと思います。OSに依存しないという部分もそうですし、ファイル形式も例えば Chromebook で開いた Microsoft Word のデータファイルを Google ドキュメントに変換することができたり、その逆にGoogle ドキュメントを Microsoft Word に形式を変える形でファイル保存ができたりと。
Mac だったり、Windows だったり、どのようなOS環境にも対応している G suite は、社会の動向が目まぐるしく変わっていくような現代において、採用しやすグループウェアだと思います。社会の前提が変わってきた場合に利用が制限されてしまうような環境は一つのリスクであると考えらるからです。
ー 浜松聖星高等学校における ”ICT教育” とは
櫻井事務長: ICTやAIが日常生活に溶け込んできている状況の中で、そういう実社会の状況と教育現場が乖離するようなことがあってはならないと考えています。
生徒にはそういった今の社会に必要な能力をこの3年間の高校生活の中で養ってもらいたいと思っています。実社会で取り入られている流れやトレンドを積極的に採用した「ICT教育」と、浜松聖星高校の教育方針である「国際教養教育」「心の教育」に沿って生徒を育成し、社会に送り出していく。これが我々の使命だと思っています。
- Google, G Suite for Education および Chromebook は Google Inc. の登録商標または商標です。